連載1 アプリケーション パフォーマンス管理とは

連載1のテーマは「アプリケーション パフォーマンス管理とは」。
4回に分けてアプリケーション パフォーマンス管理(以下APM)についてご紹介いたします。顧客満足度の高いアプリケーション サービスを提供するには、企業は、アプリケーションのパフォーマンスを常にモニタリング〜可視化し、アプリケーションの可用性を高いレベルで維持、管理しなければなりません。競合他社に対する競争優位性確保のため、SLA(Service Level Agreement、つまり「サービス品質保証」)を導入しているのであれば尚更です。こうした背景からも、アプリケーションの性能を監視、分析し、常に管理できる状態を保っておくことのビジネス上の重要性は、ますます高まってきています。

連載1.1 サービスレベル管理(SLM)が顧客満足度と業務効率を向上する

連載第1回目の今回は、APMの必要性、意義について「サービスレベル管理」の観点から、基本的な部分をおさらいする。

アプリケーションを可視化し管理する

数年前には、Webページの表示にかかるレスポンス タイムの要件を表した「8秒ルール」というものが存在したが、現在では「3秒ルール」ともいわれている。こうしたレスポンスタイムの要件は、アプリケーションの世界においても同様だ。

エンドユーザーがアプリケーションを操作し、その結果が表示されるまでの時間、その応答時間をいかに短縮するか、極端な話をすれば、企業のIT投資はこのユーザー視点で見たアプリケーションのレスポンスタイムを向上させるために行っているとも言える。そこで取り組むべきなのが、アプリケーションのパフォーマンスを「可視化」し管理すること、つまりアプリケーション パフォーマンス管理、APM(Application Performance Management )だ。

APMはアプリケーションを中心とした全体最適化

そもそもAPMは、メインフレームの世界ではごく当たり前のことであったが、最近ではオープン系システムにおいても同様の管理の必要性が高まっている。これは、近年、オープン系のシステムで基幹業務を行うことが珍しくなくなり、オープン系のシステムがミッション クリティカル化したことに起因する。

APMとは、アプリケーションのパフォーマンスについて関連するサーバー、ネットワークなどすべてのリソースをトータルに管理し、より高いパフォーマンスを発揮できるように改善していく取り組みのことである。アプリケーションに限らずITシステムの多くは、ネットワークやサーバー、データベース、クライアントPCのスペックなどさまざまな要素が複雑に絡み合っているため、それぞれ単体でパフォーマンスを計っても現実的にはそれほど意味はない。周辺環境までを視野に入れた全体最適化、さらにはユーザー視点での最適化が必要となってくる。

APMの実施、SLMの実現、顧客満足度の向上

また、APMは継続的に行ってこそ本当の効果を発揮する。たとえ、どんなに高性能なアプリケーションであったとしても、そのパフォーマンスを長期間にわたって発揮し続けることができなければ意味がない。このため、APMにより、アプリケーションの日々の稼働状況をモニターし、常に最適なパフォーマンスを発揮できるようサービスレベルを管理(SLM:Service Level Management )していくことが重要である。

たとえば、ASPベンダーであれば、APMを実施しSLMを行うことで、常に高品質なサービスの提供が可能となり、顧客満足度の向上につながる。万一、サービスレベルが低下するような障害が発生する情況にも、事前の対処が可能なほか、予測できない障害でも迅速かつ的確な復旧のための支援がされる。もしAPMを実施していないとしたら、顧客からの問い合わせ対応に多くのリソースを割かねばならず、最悪の場合は契約の解除という事態を招くこともあり得る。こうしたことは、何も対外的にサービスを提供するケースだけではなく、取引先やサプライヤーとのやり取り、または社内業務に対しても当てはまる。つまり、適切なAPMを実践することは”ビジネス レスポンスの向上”につながるのだ。

業務の効率化

また、APMのもうひとつの側面としては、アプリケーションの状況を正確に把握できるため、より最適なキャパシティ プランニングが行えるようになるということだ。多くのIT担当者が頭を悩ますのは、人員や設備の適切な配置だろう。明確な指針のない場合、これまでの経験や勘によるプランニングとなり、そのようなケースではたいていが余剰能力のあるものとなることが多い。

APMでは先にも述べたように、アプリケーションの状況を数値化することで、より容易、かつ正確な状況把握が可能になる。当然、将来に向けた予測も、より具体的かつ効率的なものが可能となる。APMにより、予測に基づく作業やそれにまつわるコストを最小限に抑えることができるようになるのだ。

このようにAPMは、顧客満足度の向上やビジネス バリューの最大化、さらには業務効率など、企業の業績に大きな影響を及ぼす大変に重要な取り組みといえる。

効果的なAPMの実践をサポートする「Vantageファミリー」

しかし、APMの実践は決して容易ではない。なぜなら、複数の要素すべてを効率的に管理できるツールが必要だからだ。しかし現状では、サーバーやネットワークに関しては管理ツールが数多くリリースされているものの、アプリケーションに関する管理ツールはほとんどないのが実情である。そうしたなかにあって、効果的なAPMを実現する希少な存在がコンピュウェアが提供する「Vantageファミリー」である。「Vantageファミリー」は、複数のツールで構成されたスイート製品で、ネットワーク、サーバー、アプリケーション処理等のさまざまな視点から、アプリケーションのパフォーマンス管理をサポートしている。

今回は主に、APMの必要性について解説してきたが、実際にAPMを実践していくにあたって必要なこととはなんだろうか。ひとつ重要なのが、パフォーマンス低下時における迅速な原因特定である。そのポイントについては、次回の連載1.2で説明したいと思う。

1.2 迅速な原因特定が問題発生予防とトラブルシューティングのカギ >>