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【なぜBPMなのか?
【BPMの仕組み】
【企業連携を実現するBPM

経営のスピードアップと信頼性を高める
ビジネスプロセス管理(BPM)を推進せよ!

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今、企業競争力を高める切り札として、ビジネスプロセスの自動化と連携によって、経営のスピードアップと信頼性を高めるビジネスプロセス管理(Business Process Management:BPM)が大きな注目を集めています。
今回はBPMを実現する上で、そのベースとなるワークフロー管理システムの進化と新たなパラダイム、そしてそこでのツールの役割について探ります。

なぜBPMなのか?

BPMは業務革新を行うBPR+技術&ツール

 新しいサービスや製品の市場への投入スピードはますます速くなっており、それに対応できない企業は厳しい競争を勝ち抜くことは困難です。ブロードバンドサービスを例にしてみると、1年ほどの間に、ADSLは1.5Mbpsから8M、12M、そして40Mへと拡大し、ウイルスチェック、IP電話など関連する新たなサービスも毎月のように追加されます。そのたびに、通信事業者は社内の業務はもとより、関連する企業との連携手順も変更させなければなりません。
 業種は違っても、現在、多くの企業が同様の問題に直面しています。扱う商品やサービスの追加や変更に合わせて、システムを随時拡張しなければならず、その結果、絶え間ないシステムの開発と変更を余儀なくされ、顧客の要望への迅速な対応が難しくなるのです。こうした問題を解決し、企業が競争優位を築くための手段として、今大きな注目を浴びているのがBPMです。
 BPMが注目されている理由は、経営レベルとシステム管理部門レベルの2つに分けて考えることができます。競争が激化する中で、今、企業にはコストの削減とより効率的な業務の展開、顧客やパートナーとの適切なコミュニケーションなどが求められています。経営層にとって、BPMはそうした課題を解決し、スピードアップと信頼性を高める企業競争力向上の切り札なのです。
 一方、企業内にシステムが乱立した結果、高まった管理負荷の軽減とオペレーションコストの削減が求められています。システム管理部門にとって、BPMはシステムの連携と管理、既存システムの拡張、B2BやB2Cなどの新規サービスの短期間で確実な立ち上げを実現し、ITの抱える問題を解消する重要な手段なのです。
 今までのシステムは、データ層とプロセスロジックを内包したアプリケーション層、そしてプレゼンテーション層の3つから構成されていました。BPMはプロセス層とアプリケーション層を2つに分け、ビジネスプロセスを外出しします(図1)。これによって、プロセスはわかりやすく、変更が容易になります。一方、プレゼンテーション層とアプリケーション層の開発やメンテナンスが容易になります。
 「BPMとは、ビジネスプロセスを統合的・集中的に管理すること、そしてITを使って基幹業務プロセスを最適化する取り組み、という2つに定義できます。その意味では、業務プロセスの革新を意味するBPRと目指すところは同じです。しかし、BPMは業務プロセスを革新するための道具という意味でも使われます。そこでは、BPMは複数の業務プロセスや業務システムを統合・制御、自動化し、業務フロー全体を最適化するための技術やツールを意味しています」と神奈川工科大学 情報メディア学科 速水治夫教授は語ります。

神奈川工科大学
情報メディア学科 

速水治夫教授

図1 BPMの考え方 (click image to enlarge)

 


業務の可視化と連携がBPMの最大のポイント

 一方、ガートナーはBPMの必須要素を、(1)グラフィカル・ツール、(2)ランタイム実行エンジン、(3)機敏性機能、(4)フローを監視し、管理するツール(5)完了後の分析のためのツール、の5つにまとめています(出典:ガートナー「BPMの分類:分かりにくい市場を分かりやすく整理する」J.Sinur,T.Bell,2003年9月10日、GJ04110)。
 この中で重要なのは「業務の可視化」と「個別に動いている業務をつなぐ」ことです。業務を可視化すると、ビジネスフローのムダな部分が見えてきます。その上で、個々の業務やアプリケーションをつないでいくことによって、BPMが実現されていくのです。
 BPMが目指すビジネスプロセスを統合的・集中的に管理したいという企業の要求は、今に始まったことではありません。1990年代にもそのための動きがあり、それは当時、ワークフローと呼ばれており、ビジネスプロセス全体、あるいはその一部の自動化であり、それによって、文書や情報、タスクが担当者から担当者へ引き継がれることを指していました。
 ワークフローのコンセプトが米国の大学院生によって打ち出されたのは、1977年。8年後の1985年には米国のFileNet社が『WorkFlo』という名称で、ワークフロー管理システムを初めて商品化しました。これはドキュメントをイメージスキャナで読み取って担当者の間に流すというペーパーフローの電子化を実現した製品で、ワークフローという用語が一般化する契機になったといわれています。
 現在、ワークフロー管理システムの国際標準化団体WfMC(Workflow Management Coalition)ではワークフロー管理システムについて、次のように定義しています。
(1)1つまたは、複数のワークフローエンジンの上で動作するソフトウェアにより実行されるワークフローを「定義」「生成」「運用」するシステムで、プロセス定義データを解釈し、ワークフローの担当者と相互作用し、必要に応じてアプリケーションを起動する。(2)同時に、ワークフローの実行を「管理」し、その履歴を「記録」する。
 ここでいう担当者とは、人間や担当グループだけでなく、アプリケーションの場合もあります。そして、「定義」「生成」「運用」「管理」「記録」をWfMCはワークフロー管理システムの5大機能と規定していますが、これは前述のガートナーが述べているBPMに必要とされる機能と全く同じものです。

BPMの仕組み

ワークフロー管理システムの適用範囲の拡大

 次に、一般的なワークフロー管理システムの機能と構成を見てみましょう(図2)。ワークフロー管理システムでは、まずビジネスプロセス定義ツールで、プロセス定義データを生成します。ここではプロセス定義データと組織/役割データの2つが分かれていることが重要です。ビジネスプロセスに個人名を入れて定義すると、人事異動で担当が替わるたびに、プロセスを書き換えなければなりません。
 そこで、プロセスは一般的に記述して、個人名との対応は組織/役割データで行うようにします。次に、ワークフローエンジンがアプリケーションの起動や担当者への仕事の依頼を行い、それによって、ワークフローが流れます。さらに、その様子を監視、記録し、ワークフローの分析も行います。
ワークフロー管理システムは最初、伝票や帳票の処理など単純作業の支援からスタートしました。その適用範囲は拡大してきていますが、現在でもワークフローというとドキュメントや伝票の処理と非常に限定的に考える人が多いのも、そうしたことに起因しています。単純作業支援からスタートしたワークフロー管理システムはその後、知的共同作業支援へと進み、ソフトウェア開発やドキュメントの作成など、より長いプロセスをサポートするようになりました。さらに、出張経費の処理など基幹システムとの連携へと発展しました。これらはいずれも、人間がやっていた業務を支援する役割を果たしているので、グループワーク指向ワークフローと呼ぶことができます。最近では、ワークフローの適用範囲はさらに拡大し、複数の基幹システムとの統合へと発展しています。これは、すでに人間が行っていた業務の支援というレベルを超えており、システム指向ワークフロー、BPMのためのツールだということができます。

図2 ワークフロー管理システムの一般的機能構成
 (出典:WfMC、和訳:神奈川工科大学 情報メディア学科 速水治夫教授)
(click image to enlarge)

 

ワークフローアプリケーションのアーキテクチャ

図3 ワークフローアプリケーションのアーキテクチャ
(出典:WfMC、和訳:神奈川工科大学情報メディア学科 速水治夫教授)
(click image to enlarge)

 ビジネスプロセスは数秒から数ヵ月に亘るものまで、実行時間の幅が非常に広く、組織の再編成やプロセスの最適化、アウトソーシングなどによって頻繁に変更されます。また多くのエンドユーザーとの相互作用から成り立っています。これらに対応するため、ワークフローアプリケーションはオペレーターが長時間のロードを管理・制御する機能が必要です。また最少のインパクトで追従できることや仕事とリソースの割り当ての明確化が求められます。
 「ワークフローアプリケーションの要件から、そのアーキテクチャは次のような性格を持ちます。まず、アプリケーションは個々の仕事を実行する複数の実行主体と処理全体の流れの制御を行う制御主体に分けられます。実行主体は個々のビジネスプロセスのステップの自動化を実現。一方、制御主体はビジネスゴールを達成するために、実行主体や他のリソースの相互作用を制御・調整するビジネスルールを達成します。さらに、ワークフローの構成要素として、入力・作業・判断・決定などを実行する複数の担当者が存在します。このように、ワークフローアプリケーションのアーキテクチャは実行主体、制御主体、担当者の3要素で考えることができます(図3)」(速水教授)
 これは開発者とオペレーター双方にメリットをもたらします。開発者は制御主体の修正だけで対応でき、ビジネスプロセスの変化に最少の工数で柔軟に対処できます。また、制御主体の状態はビジネスプロセスの進行を表現するため、オペレーターはアプリケーションの監視や制御が容易に行えるのです。

企業連携を実現するBPM

ネットワークを介して企業間で連携するインターワークフロー

 現在までワークフロー管理システムは、一つの企業の内部に閉じた業務への適用に重点が置かれてきました。しかし、これからは、資材調達のワークフロープロセスを取引先の受注納品管理のワークフロープロセスと相互接続することで、資材調達をより効率化するなど、企業の壁を越えて連携し、発展していきます。このようなワークフロープロセスの相互連携、企業や組織間でのビジネスプロセスの連携の自動化を「インターワークフロー」と呼び、今までのワークフローと区別します。
 単一企業のワークフローは単独のワークフローシステムで容易にシステム化が可能です。ところが、複数企業にまたがるワークフローの構築にはさまざまな困難が伴います。特に標準化されていないワークフロー管理システムを使って、それぞれの企業が個別にシステム化すると、企業と企業をつなぐ部分は手作業で行わざるを得なくなります。そのため、複数組織にまたがるビジネスプロセスの自動化を行うインターワークフローが求められます。

相互連携を標準化することでインターワークフローを実現

 それを実現していくには、まず異種ワークフロー管理システム間のインターフェースと接続プロトコルの標準化が必要であり、現在までWfMCによって進められてきています。しかし、それだけでは十分ではありません。
 「企業がそれぞれ独立性を維持しながら、連携するためには、連携プロセスのすべてをお互いに公開することはできません。そこで、連携の基本プロセスのみを共同で定義し、それをもとに各企業で社内プロセスを独自に定義していくという階層的定義・構築支援システムが必要です。そのためには、最初のステップとして、各組織のワークフロープロセスの内部をブラックボックスにして、相互連携のみに着目して記述します。そして次のステップとして、その結果を各組織が持ち帰り、ブラックボックスの部分の内部プロセスを追加していきます。このように、プロセス記述を階層化することによって、インターワークフローが実現されていくのです」(速水教授)
 さらに、ネットワーク技術の発展によって、制御主体と実行主体がネットワーク上に分散し、状況に応じて、どちらの役割も果たす分散ワークフローモデルも登場し、標準化が進められています。

これからのBPMツールに必要な要素

 こうした中で、BPMツールには、今までみてきたようなワークフローの考え方に基づいて提供される次の3要素が必要になります。
 1つ目は手動で行われているタスクや行動を自動化するビジネスプロセス・オートメーションです。これによって、それぞれの業務をプロセスフローによって連携し、業務の流れを自動化することができます。
 2つ目が組織やプロセスの間を、メッセージを用いて統合するビジネスプロセス・インテグレーションです。これによって、パートナーやサプライヤーと連携したビジネスプロセス、すなわちインターフローが実現します。
 そして最後が、プロセスの管理を行うビジネスプロセス・マネージメントです。これによって、作業漏れの防止やスループットの向上などプロセスの管理を行い、さらに、実業務における作業実態を数値データとして収集、業務改善のために活用することができます。
 こうした機能を備えたBPMツールを選択することが、今後、企業が最適なワークフロー管理を実現するために必要になるのです。