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図1 BPMの考え方 (click image to enlarge) |
業務の可視化と連携がBPMの最大のポイント
一方、ガートナーはBPMの必須要素を、(1)グラフィカル・ツール、(2)ランタイム実行エンジン、(3)機敏性機能、(4)フローを監視し、管理するツール(5)完了後の分析のためのツール、の5つにまとめています(出典:ガートナー「BPMの分類:分かりにくい市場を分かりやすく整理する」J.Sinur,T.Bell,2003年9月10日、GJ04110)。
この中で重要なのは「業務の可視化」と「個別に動いている業務をつなぐ」ことです。業務を可視化すると、ビジネスフローのムダな部分が見えてきます。その上で、個々の業務やアプリケーションをつないでいくことによって、BPMが実現されていくのです。
BPMが目指すビジネスプロセスを統合的・集中的に管理したいという企業の要求は、今に始まったことではありません。1990年代にもそのための動きがあり、それは当時、ワークフローと呼ばれており、ビジネスプロセス全体、あるいはその一部の自動化であり、それによって、文書や情報、タスクが担当者から担当者へ引き継がれることを指していました。
ワークフローのコンセプトが米国の大学院生によって打ち出されたのは、1977年。8年後の1985年には米国のFileNet社が『WorkFlo』という名称で、ワークフロー管理システムを初めて商品化しました。これはドキュメントをイメージスキャナで読み取って担当者の間に流すというペーパーフローの電子化を実現した製品で、ワークフローという用語が一般化する契機になったといわれています。
現在、ワークフロー管理システムの国際標準化団体WfMC(Workflow Management Coalition)ではワークフロー管理システムについて、次のように定義しています。
(1)1つまたは、複数のワークフローエンジンの上で動作するソフトウェアにより実行されるワークフローを「定義」「生成」「運用」するシステムで、プロセス定義データを解釈し、ワークフローの担当者と相互作用し、必要に応じてアプリケーションを起動する。(2)同時に、ワークフローの実行を「管理」し、その履歴を「記録」する。
ここでいう担当者とは、人間や担当グループだけでなく、アプリケーションの場合もあります。そして、「定義」「生成」「運用」「管理」「記録」をWfMCはワークフロー管理システムの5大機能と規定していますが、これは前述のガートナーが述べているBPMに必要とされる機能と全く同じものです。
BPMの仕組み
ワークフロー管理システムの適用範囲の拡大
次に、一般的なワークフロー管理システムの機能と構成を見てみましょう(図2)。ワークフロー管理システムでは、まずビジネスプロセス定義ツールで、プロセス定義データを生成します。ここではプロセス定義データと組織/役割データの2つが分かれていることが重要です。ビジネスプロセスに個人名を入れて定義すると、人事異動で担当が替わるたびに、プロセスを書き換えなければなりません。
そこで、プロセスは一般的に記述して、個人名との対応は組織/役割データで行うようにします。次に、ワークフローエンジンがアプリケーションの起動や担当者への仕事の依頼を行い、それによって、ワークフローが流れます。さらに、その様子を監視、記録し、ワークフローの分析も行います。
ワークフロー管理システムは最初、伝票や帳票の処理など単純作業の支援からスタートしました。その適用範囲は拡大してきていますが、現在でもワークフローというとドキュメントや伝票の処理と非常に限定的に考える人が多いのも、そうしたことに起因しています。単純作業支援からスタートしたワークフロー管理システムはその後、知的共同作業支援へと進み、ソフトウェア開発やドキュメントの作成など、より長いプロセスをサポートするようになりました。さらに、出張経費の処理など基幹システムとの連携へと発展しました。これらはいずれも、人間がやっていた業務を支援する役割を果たしているので、グループワーク指向ワークフローと呼ぶことができます。最近では、ワークフローの適用範囲はさらに拡大し、複数の基幹システムとの統合へと発展しています。これは、すでに人間が行っていた業務の支援というレベルを超えており、システム指向ワークフロー、BPMのためのツールだということができます。
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図2 ワークフロー管理システムの一般的機能構成 |
ワークフローアプリケーションのアーキテクチャ
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図3 ワークフローアプリケーションのアーキテクチャ |
ビジネスプロセスは数秒から数ヵ月に亘るものまで、実行時間の幅が非常に広く、組織の再編成やプロセスの最適化、アウトソーシングなどによって頻繁に変更されます。また多くのエンドユーザーとの相互作用から成り立っています。これらに対応するため、ワークフローアプリケーションはオペレーターが長時間のロードを管理・制御する機能が必要です。また最少のインパクトで追従できることや仕事とリソースの割り当ての明確化が求められます。
「ワークフローアプリケーションの要件から、そのアーキテクチャは次のような性格を持ちます。まず、アプリケーションは個々の仕事を実行する複数の実行主体と処理全体の流れの制御を行う制御主体に分けられます。実行主体は個々のビジネスプロセスのステップの自動化を実現。一方、制御主体はビジネスゴールを達成するために、実行主体や他のリソースの相互作用を制御・調整するビジネスルールを達成します。さらに、ワークフローの構成要素として、入力・作業・判断・決定などを実行する複数の担当者が存在します。このように、ワークフローアプリケーションのアーキテクチャは実行主体、制御主体、担当者の3要素で考えることができます(図3)」(速水教授)
これは開発者とオペレーター双方にメリットをもたらします。開発者は制御主体の修正だけで対応でき、ビジネスプロセスの変化に最少の工数で柔軟に対処できます。また、制御主体の状態はビジネスプロセスの進行を表現するため、オペレーターはアプリケーションの監視や制御が容易に行えるのです。
企業連携を実現するBPM
ネットワークを介して企業間で連携するインターワークフロー
現在までワークフロー管理システムは、一つの企業の内部に閉じた業務への適用に重点が置かれてきました。しかし、これからは、資材調達のワークフロープロセスを取引先の受注納品管理のワークフロープロセスと相互接続することで、資材調達をより効率化するなど、企業の壁を越えて連携し、発展していきます。このようなワークフロープロセスの相互連携、企業や組織間でのビジネスプロセスの連携の自動化を「インターワークフロー」と呼び、今までのワークフローと区別します。
単一企業のワークフローは単独のワークフローシステムで容易にシステム化が可能です。ところが、複数企業にまたがるワークフローの構築にはさまざまな困難が伴います。特に標準化されていないワークフロー管理システムを使って、それぞれの企業が個別にシステム化すると、企業と企業をつなぐ部分は手作業で行わざるを得なくなります。そのため、複数組織にまたがるビジネスプロセスの自動化を行うインターワークフローが求められます。
相互連携を標準化することでインターワークフローを実現
それを実現していくには、まず異種ワークフロー管理システム間のインターフェースと接続プロトコルの標準化が必要であり、現在までWfMCによって進められてきています。しかし、それだけでは十分ではありません。
「企業がそれぞれ独立性を維持しながら、連携するためには、連携プロセスのすべてをお互いに公開することはできません。そこで、連携の基本プロセスのみを共同で定義し、それをもとに各企業で社内プロセスを独自に定義していくという階層的定義・構築支援システムが必要です。そのためには、最初のステップとして、各組織のワークフロープロセスの内部をブラックボックスにして、相互連携のみに着目して記述します。そして次のステップとして、その結果を各組織が持ち帰り、ブラックボックスの部分の内部プロセスを追加していきます。このように、プロセス記述を階層化することによって、インターワークフローが実現されていくのです」(速水教授)
さらに、ネットワーク技術の発展によって、制御主体と実行主体がネットワーク上に分散し、状況に応じて、どちらの役割も果たす分散ワークフローモデルも登場し、標準化が進められています。
これからのBPMツールに必要な要素
こうした中で、BPMツールには、今までみてきたようなワークフローの考え方に基づいて提供される次の3要素が必要になります。
1つ目は手動で行われているタスクや行動を自動化するビジネスプロセス・オートメーションです。これによって、それぞれの業務をプロセスフローによって連携し、業務の流れを自動化することができます。
2つ目が組織やプロセスの間を、メッセージを用いて統合するビジネスプロセス・インテグレーションです。これによって、パートナーやサプライヤーと連携したビジネスプロセス、すなわちインターフローが実現します。
そして最後が、プロセスの管理を行うビジネスプロセス・マネージメントです。これによって、作業漏れの防止やスループットの向上などプロセスの管理を行い、さらに、実業務における作業実態を数値データとして収集、業務改善のために活用することができます。
こうした機能を備えたBPMツールを選択することが、今後、企業が最適なワークフロー管理を実現するために必要になるのです。






