Success Story
市場の要請に応えるため必須だった総合開発環境の迅速なバージョンアップ
|
| 株式会社ルネサスソリューションズは、ルネサスマイコン用部品の性能を最大限に活かすアプリケーション開発のために提供している総合開発環境High-performance Embedded Workshopを開発・提供している。市場の要請に柔軟に対応できるバージョンアップ体制を目指し、自動化を決断。複数の候補の中から、スムーズな稼動が予測できたコンピュウェアのテスト自動化ツール「TestPartner」を導入した。その結果、プログラム結合段階でのデグレーション防止テストが10日から2時間半に短縮され、クリティカルな問題も迅速に解決できる体制を整えた。 |
ルネサスマイコンの性能を最大限に活かす統合開発環境を提供
ルネサスグループは、日立製作所と三菱電機の半導体事業部門が合併して2003年に誕生し、明日のユビキタス社会を見据えた半導体開発技術・製品・サービスを提供する世界最大級の企業グループだ。株式会社ルネサスソリューションズは、その中にあって半導体応用スペシャリストとして、お客さま個々のニーズに応じた企画提案、開発サポート、さらには技術教育などの多角的な事業を推進している。
ルネサスマイコン向けアプリケーションプログラムの開発作業を支援する統合開発環境の提供も、同社の重要な事業の一つである。High - performance Embedded Workshopと呼ばれるこの統合開発環境は、一貫したユーザーインターフェイスによって、エディタ、コンパイラ、エミュレータといった組み込みアプリケーション開発に必要なツールを有機的に連結させた統合フレームワークとなっており、ルネサスマイコンの性能を最大限に活かすアプリケーション開発を強力に後押ししている。
柔軟なバージョンアップに対応できないテスト工程
統合開発環境High-performance Embedded Workshopの存在は、ルネサスグループにとって大きなセールスポイントの一つである。そのために、あくなき進化を続けていく使命をも担っている。それは他社との市場競争で優位に展開し続けていく上でも重要なことであり、同グループの顧客企業や販売会社からの要望に応える意味もある。
こうした背景から、High-performance Embedded Workshopは、基本は年に2回、多いときで4回のバージョンアップを行っていた。この統合開発環境は大きく3つのパートから構成されている。GUIなどを中心とした共通フレームワークパート、コンパイラなどのツールチェーンと呼ばれるパート、そしてエミュレータなどのデバッガパートである。株式会社ルネサスソリューションズツールビジネス本部ツール開発部デバッガグループでは、そのうちフレームワークパートとデバッガパートの開発を担当しており、複数の拠点で分担しながら同時並行で開発を進めている。
開発工程の後半になると、各地の開発拠点から毎週送られてくるプログラムを結合させ、品質デグレーション防止テストを行うのだが、これがかなり負荷のかかる作業だった。ベテランエンジニア1人で着手してゆうに10日間、準備なども合わせると3週間ぐらいかかってしまう。それというのも、High-performance Embedded Workshopがソースコードレベルで200万ステップを超える非常に大きなアプリケーションでテストが広範囲に及ぶからだ。非常に時間がかかるため、製品リリースのタイミングを考えるとプログラムの合体は週ごとに行えてもテストをその頻度で行うのは困難で、せいぜい中盤に1回、最終段階に1回程度行うのが精一杯だった。しかし、これだとなにか問題が見つかると、その解決にまた時間を費やしてしまうことになる。同社の主任技師竹内和博氏は、日立製作所でHigh-performance Embedded Workshopの開発に携わっていた際、テストの作業効率を改善する手だてが必要だと考えテストの自動化ツール導入を試みたことがあったが、このときはうまく動かず、“やはり手作業しかない”と思ったという。しかし合併の際、三菱電機が有していたデバッガがHigh-performance Embedded Workshopに統合されたことで、事態はいっそう複雑になった。開発経緯が異なる2つのプログラムが1つになったからである。竹内氏は、あらためてテスト自動化ツール導入のため製品を探すことを決断した。
統合開発環境上での稼働が確信できたTestPartnerを選択
「TestPartner」のことを竹内氏が知ったのは、2005年7月に開催した日本コンピュウェアの新製品発表会のときだった。製品の評価版を入手し、さっそく社内で試してみた。
ほかに2つの製品を候補に挙げたが、1つは評価版が存在せず、もう1つは評価版はあったものの、High-performance Embedded Workshop環境上でうまく動かなかったという。その点、「TestPartner」は最初からスムーズに機能した。竹内氏はすぐに導入を決め、開発工程の自動化に長く取り組んでいた技師 井村滋氏が中心となってテスト環境の構築に取りかかった。これは今から振り返ると簡単な作業ではなかった。2つのツールが息を合わせて動く必要があるためだが、井村氏はHigh-performance Embedded Workshop上で「TestPartner」を利用するための独自ライブラリを用意することでこれを乗り切った。“工程の5割でも自動化できれば、デグレーション防止テストの効率やプログラム品質の向上に役立つ”と判断したからである。途中の過程では、日本コンピュウェアの営業技術部門とテクニカルサポート部門が熱心に支援を提供したこともプラスに働いたようだ。井村氏は「TestPartner」の使用実感を次のように語る。
「TestPartner」はスクリプト記述言語としてVBAが利用できるので、すっと使い始めることができますね。言語のことを気にせずに、操作方法を習得することだけに専念できたのはありがたかったです。また「TestPartner」にはスクリプトを修正しながら繰り返し再実行できるデバッギング機能があって、テストスクリプトを作っていく上ではこれが非常に便利でした」
速く、正確に問題点をあぶりだすTestPartnerは魔法の杖
機能テストツール「TestPartner」は、2006年7月に予定されていたHigh-performance Embedded Workshopの最新版のデグレーション防止テストから本格的に利用され始めた。今までは工数が10日もかかるために2回程度しか行えなかったのだが、2時間半ほどで済むようになったため、毎週各拠点から送られてきたプログラムを結合させるたびにテストを行えるようになった。このときのバージョンアップでは、問題点が18ヶ所見つかり、その中にはプログラム品質を維持する上において非常にクリティカルな問題もあったそうだ。
実は今はもう、次のバージョンアッププロジェクトが佳境に入っていて、先週もプログラム結合を行いました。製品的には安定していたのでテストは急がなくてもいいかと思っていたんですが、『TestPartnerなら2時間半で済むんだからやろうよ』ということになりました。そうしたらとてつもなく大きな問題が見つかって、『TestPartnerは魔法の杖だ!そして井村は魔法使いだ!』とみんなで盛り上がりました。
テストがスムーズに行えることで、問題点の特定や修正が迅速に行えます。そして時間があるからさらにテストができ品質が上がります。何度実行しても「TestPartner」はいやがりません(笑)。テストの自動化を実現したことで、すべてが良循環で回っていくようになりました。もう投資したコストはすっかり回収しましたね(竹内 氏)
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
ツール開発部 |
ツール開発部 |
ツール開発部 |
ツール開発部 |
今後は、17製品あるデバッガパートの開発を専門とする大阪の開発拠点にも導入されることになった。担当者 主事 後藤宏健氏は次のように語る。
「大阪もテスト自動化は試みたことがあったんですがやはりうまくいかず、「TestPartner」についても最初は懐疑的でした。しかし、実際にサクサク動くのを見て驚き、『これなら使える』と思いました。テストは重要な工程ですが、開発後半になるとエンジニアも肉体的かつ精神的に疲れてくるので、手作業でやるとどうしてもその精度を保てないんですね。それを「TestPartner」に任せられるというので非常に期待しています」
今回の一連の「TestPartner」導入をマネージャとして見守ってきたグループマネージャ上垣秋広氏は、これまでの成果を以下のようにまとめた。
「これまで10日かかっていたテストが2時間半に短縮され、しかもアプリケーション品質の向上も実現しました。これは市場や販売会社からの要望に迅速に応える使命を持つわれわれとしては大きな前進です。
「TestPartner」を充分に使いこなせる人材の育成は課題としてありますが、今後は大阪だけではなく、開発拠点に幅広く「TestPartner」を水平展開していければいいなと考えています」

※文中に記載された名称は、各社の商標または登録商標です。
キーファクト株式会社 ルネサスソリューションズ
URL:インダストリー:半導体製造 チャレンジ:市場の要請に応えるために、総合開発環境High-performance Embedded Workshopは迅速にバージョンアップを行う必要があったが、テスト工数に時間がかかりすぎるために、これを十分な形で実施することが困難だった。 コンピュウェアからの解答:「TestPartner」を利用することで、品質デグレーション防止テストの自動化を実現。手作業で10日かかっていた工程が2時間半に短縮され、週単位でのテストの実施が可能になった。クリティカルな問題が迅速に判明することでその解決もスピードアップ、アプリケーション品質の向上にも貢献している。 コンピュウエア ソリューション:
|






